ノルマンディー地方リネンの旅
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2021年9月、私たちはフランス北部ノルマンディー地方にある、EMBRINが経営する農場とフレンチリネンのショールームへ伺いました。
パリからレンタカーで約2時間。海岸にほど近い村に到着しました。見渡す限り農場が広がり小さな集落が点々としています。どのお家も緑あふれていて建物がかとてもわいらしい。すてきなフランスの田舎の風景です。
訪れた9月は、畑の土の上で発酵が終わったリネンを工場に移動させる時期です。そこでリネンから繊維を取り出します。ほどんどの畑ではすでにリネンが収穫済み。農場の人にリネンが残っている畑はほとんど無いと聞きましたが、探してみることにしました。
偶然にもトラクターが作業中の畑でリネンを見つけることができました。青い海と空に、ブルーのトラクターの色が映えます。6月中旬にはここ一面がリネンのブルーの花で埋め尽くされるそうです。
根から引き抜いたリネンを、このように畑に寝かせて、定期的に裏返しながら発酵させます。微生物やバクテリアによって木質部分が分解され、リネンの繊維が取り出しやすくなります。この行程に薬品も機械も使わない、とても環境にやさしい製法です。
農場経営とフレンチリネンの製造を行っているEMBRINに来ました。火打石とレンガでできたショールームの建物が目を引きます。内部には布を裁断、縫製する作業場があり、商品のショールームが併設されていました。
EMBRINのオーナーにリネン栽培についてお話を聞きました。EMBRINではリネンは輪作で5年周期で育てているそうです。その他の年にはリネン畑では、てんさい、じゃがいも、とうもろこしなどの農作物を栽培するとのこと。
3月にリネンの種をまき、毎年6月20日頃、見事なブルーの花を畑一面にが咲かせます。リネンは成長が早く、3ヶ月で1メートルくらいに成長するそうです。ここノルマンディーの土と気候がリネンの成長にとても良く合っているそうです。
敷地内には、昔の器具がおいてありました。かわいらしいポニーやにわとりも走り回っていました。
代々受け継いてきた農場とノルマンディーの環境をとても大切にされている想いが伝わってきました。今頃、青い海を望む畑では、リネンの青々とした芽が出始めている頃でしょう。